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15話 「助け」という名の傲慢・武装した獣人たちとの対峙

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-12-25 12:48:48

「この先に、ボクの仲間で家族のような獣人の娘がいますが」

 そらが告げると、獣人たちは一斉に警戒したような表情を見せた。彼らの視線に敵意が混じる。

「お前が捕らえているのか!?」

「捕らえてはいませんよ。保護をして面倒を見ています」

 そらは冷静に否定した。

「だったら連れてきて証明しろ! 直接、本人から話を聞かせてもらって判断する」

 リーダーは言い放った。彼の目は全てを見通そうと鋭く光っている。

 そらは彼らの視線を受け止めながら、その場で転移魔法を発動した。一瞬の光と風が渦巻き、フィオを抱きかかえるように連れて戻った。

「……なに?」

 フィオは魚捕りを中断された不機嫌さを隠すことなく、獣人族の人々に向かって素っ気なく答えた。そりゃそうだ……楽しい遊びを邪魔され、ムッとした表情なのだから。彼女はそらにしがみつき、不審な集団を警戒している。

 フィオの姿を見るなり、獣人たちは一斉に彼女に詰め寄ってきた。その表情には焦りと心配がにじんでいる。

「大丈夫か? 辛い思いをしてないか? 助けに来たぞ」

 大勢の大人に囲まれ、剣幕に押されたフィオは少し怯えたようだった。彼女はすぐにそらの後ろに隠れ、そらの服の裾をぎゅっと掴んだ。

「つらくない。だいじょうぶ! ほっといて」

 震える声だったが、フィオの言葉は力強かった。その瞳には自分を心配するどころか利用しようとした者への拒絶が宿っている。

「本当か?」

 リーダーの獣人が訝しげに問い返す。

「こわい。このひと……」

 フィオはそらの服の裾をさらに強く掴んだ。彼女の純粋な怯えと、そらに対する信頼の深さが、獣人たちに伝わったようだ。獣人たちは、その様子を見て、ようやく納得した。フィオが望んでいないことを理解したのだ。

「本当みたいだな。悪かった! 近くに来ることがあれば村に寄ってくれ。人間が来たことはないが、獣人の娘を大切に保護してくれているお前は歓迎しよう」

 リーダーの獣人は深く頭を下げ、謝罪と感謝の言葉を述べた。

 仲間思いだけど、やっていることは危ないな……。助け出されたとしても、魔物や魔獣もいるこんな山奥で解放されてもなぁ……。そらは彼らの状況を察し、少し複雑な心境になった。

「俺たちは帰るが、その娘を頼んだぞ」

「うん。任せて!」

 そらは力強く頷いた。

 獣人族の集団が名残惜しそうにこちらを振り返りながら、森の奥へと姿を消していくのを見送った。

 その場が静かになると、そらはすぐに転移でフィオと一緒にキャンプ地に戻った。

 フィオは戻るやいなや、先ほどの恐怖を忘れたかのように元気を取り戻し、一目散に川に入って、再び魚を追い回し始めた。その姿は純粋で無邪気な可愛らしい子供のようだった。

♢露天風呂での出来事と翌朝

 そろそろ森の中にも影が伸び、暗くなってきたので、そらは川遊びを終えたフィオを促した。水から上がり、体が冷え始めているフィオと一緒に温かい湯気を上げる露天風呂に入った。フィオは気持ちよさそうにそらにしがみつく。

 ティナも入るつもりだったらしい。彼女はそらたちを見て、ゆっくりと服を脱ぎ始めると、脱いだ服をどこに置くか戸惑っている様子だった。エルやアリアが躊躇なく脱ぎ捨てていたのとは対照的だ。さすがはしっかり者のティナさんだな。

 そらは彼女の気遣いに気づき、魔法ですぐに結界で覆われた簡素な脱衣場を作り上げた。清潔な棚とベンチも設置し、ティナにそこに服をしまうように言った。

「あ、ありがとうございます」

 ティナは安堵の表情を浮かべ、そっと脱衣場の中に入っていった。

 湯に浸かり、リラックスしているそらの近くへ、ティナが身体を洗い終えて恥ずかしがりつつもそっと寄ってきた。そらが何気なく彼女の方へ顔を向けると、ティナはたちまち顔を赤くして怒りの声を上げた。

「こっちを見ないでください!」

 ティナに怒られた。えぇ……自分から近づいてきて、その反応ですか……対応に困るのですが、ティナさん。そらは内心で苦笑いするしかなかった。

 そらはそれ以上、ティナに関わるのはやめて、フィオの方に注意を向けた。フィオは湯船で潜ったり、手でお湯をジャブジャブしたりして楽しそうに遊んでいたので、そらはフィオと一緒に無邪気な時間を過ごした。

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